シルクロードを往来したソグド人-歴史から文学へ

昨年、新聞に「中国でソグド人の古墓が発見された」という記事が掲載された。このことは、シルクロードを往来していたソグド人達が遥か中国の果てまで来て暮らしていたことを示すものだった。当然、古代から遣隋使・遣唐使たちが行き来していた中国と日本の関係であるから、商人であるソグド人たちが来日していないわけはない。しかも渤海使として日本を訪れた人々の中にも、ソグドの名前を持つものが多く存在したことは史料からも明らかである。 彼らがもたらした品物や書物や文化は、当時の貴族や知識人たちの憧れの的だった。そして異国人との出会いは更に興味深かったに違いない。これらの出来事がその後の日本文学へ多大な影響を与えたことは、『竹取物語』『宇津保物語』『源氏物語』を見ればよくわかる。4年前、私は、紫式部は武生での経験を基に『源氏物語』の末摘花の姿を創り上げたのではないかということを述べた。今回はさらに「髭黒大将」の姿を捉え、その外見や行動などに異国人であるソグド人の面影を見出したい。